acchan.com恋愛お見合い - 無料の婚活サイト  どなたもログインしてません  

○|○|日記館

夢でおならを踏むような噺
…とは程遠い、生活感あふるる自分語り

 
2014-05-01

20140429新宿末広亭昼席

カテゴリー: 日記
途中から

柳屋さん若 初天神
のだゆき ピアニカとリコーダーいつもの
金原亭竜馬 猫と金魚
隅田川馬石(一之輔代演) 子ほめ
林家二楽 紙切り 娘の嫁ぐ日、おみこし
桃月庵白酒 浮世床・本
春風亭勢朝 小咄いくつか
三遊亭小円歌 名人出囃子など
八光亭春輔 権兵衛狸 かっぽれ
古今亭志ん輔 稽古屋 
江戸家猫八 犬とかこおろぎ、まつむしすずむし
桂文楽    看板のピン
金原亭馬遊 替り目
大空遊平かほり 漫才
むかし家今松 壺算
柳家さん喬 そば清
仙三郎社中 回し分け、土瓶、花笠
金原亭伯楽 火焔太鼓


祝日のためか二階席まで開くほどのにぎわいだった。
目当ては一之輔だったけど休演、でも代演が馬石だったからうれしい。
客席には子どももちらほら、となると動物や子どもが出てきたり、鳴り物が賑やかだったりわかりやすい噺が多くなるのかな。こういう日、初天神と子ほめはよくかかる気がするな。
そんなとき小うるさい落語マニアが学校寄席のような子供だましでつまらないと評するのを見たことがあるが、この臨機応変な感じがライブ感とも呼べるのではないかしら。そしてこちらも寄席初体験のかたと連れ立ってきたのでホッとする。その日の夜席では喬太郎主任、扇辰師がお血脈で五右衛門が釜茹でされるとき東京ホテトル音頭を歌ったとか後に知ったが、そういうわかりづらいのじゃなくてよかった。
そもそも寄席には楽屋オチが多くて、初心者はまわりが笑ってるのにひとりだけ取り残されていることがよくあるはずだ。それがいいんだかわるいんだかわからない。すっごい排他的で、こればっかりでは斜陽化もするだろうと思うし、けど笑ってしまえるようになったのも確かだし。わたしの場合は取り残され感がくやしくて元はなんなんだと帰ったら必ずネットで調べるんだけれどさ。それはわたしの性格がそうなだけで、大衆娯楽とするならおかしいとおもうわ。


で、壺算といえば、ドラえもんの「世の中うそだらけ」という一話。

アイスを買って帰ろうとするのび太を呼び止めるジャイアン。店まで行くのが面倒だからとのび太のアイスを売ってもらおうとする。持っているのは50円のアイスと100円のアイス。ジャイアンは50円払って50円のアイスを買うが、店に戻ろうとするのび太を呼び止め「やはり100円のにする」と50円のアイスを返し、100円のアイスを取って食べ始める。

そこでのび太は差額の50円をもらおうとするがジャイアンは

「はじめに50円払ったな。今50円のアイスわたしたな。
 50円と50円、合わせていくら?」

「ちょうど100円!」

といってのび太は丸め込まれてしまう。あきれたドラえもんが素直過ぎる(バカの)のび太に、疑い深くなる薬「ギシンアンキ」を飲ませて…というお話。

藤子Fのまんがには落語ネタがよく出てくる。ジャイアンが強権発動させてリサイタルに呼びつけるところはまさに「寝床」を思わせ、21エモンのゴンスケという名も落語では「ばかの与太郎」とおなじように田舎者の下男といえば権助で(ただし元は固有名詞ではなく、地方から出てきた使用人の総称だったらしい。使用人の名では他に定吉もいる)、真面目でバカ正直な下男を主人公とした「権助魚」「権助提灯」などの噺もある。21エモンでもそんな性格のゴンスケが事を大きくしてしまうシーンがちょいちょい出てくる。
「中年スーパーマン左江内氏」では、体調不良をおして出社しようとする左江内氏を気遣う妻。そんなに心配かと聞くと、ろくな蓄えもないまま死なれては一家心中になると返され「やれやれとんだ『厩火事』だ」とつぶやく。これには題名そのものがセリフに入ってくるが、これは大人向け雑誌(漫画アクション)に連載していたもので、70年代後半という時代ではまだ大人の娯楽として落語が共有できたからではないかと背景にうかがえる。

F先生は落語が好きだったそうで、ミュージアム等で見られるその机まわりを再現したものには落語のカセットテープが並んでいた。志ん生が好きだったのだな、などというのが見てわかった。

わたしは藤子作品で言葉を覚えたといっても過言ではないので、30年以上の年月を経て、意図せぬ瞬間にオマージュの元が理解できたときのうれしさといったらない。わかるひとにわかればいいのものではなく、話の中にたいへんスマートに織り込まれている。そこにF先生のユーモアとやさしさを感じるのでした。もちろん安易な時事ネタや流行り文句が使われていて、いま読むとさっぱりってのもあるけどね。

ちなみにこの壺算理論、当時からよくわかっていなかったがいまでも実際にやられたらたぶん騙されるとおもう。