山頂からしばらく下ると運命の分かれ道、岩茸石の三叉路にきました。
もと来た道をそのまま帰れば、何事もなく下山できたのでしょうけど、
一度通ったところを帰るのもつまらんと思ってしまい、尾根づたいの登山道で下ることにしてしまいました。
この判断が大きなミスでした。
途中までは、道もわかりやすく快調に下れました。
斜面の勢いにまかせて下ってしまい、ふと気づくと辺りは倒木だらけで踏み固められた形跡のない場所にきていました。
木立のすき間が道に見えてしまい、やばい状況です。
引き返せばいいものを、なおも進むと杉も生えない急斜面と薄暗い杉林に前を遮られ、完全に迷ったことを悟りました。
コンパスと地図を見比べるも目標物は何もなし。
どこにいるのかさっぱりわかりません。
引き返すために登り始めましたが、水の残りはペットボトル半分で、
汗かく登りでは心細い量しか残っていません。
携帯の電波を確認するとアンテナが立っていたので、
最悪の場合、連絡は着きそうですが、遭難を現実的なものとして認識するようになりました。
携帯の電源を切って、万一に備え、
なおも登り返していくと、踏み固めてられた道らしきもの見つけました。
確信はなかったのですが、コンパスで方向を確認しながら慎重にその道を進むと、崩れかけた木製の階段があらわれ、やっと安心できました。
ルートに戻れたとはいえ、なおも厳しい下りがつづきます。
5時近くで山に登る人もいないだろうし、山頂を出発したのは僕が最後だったので、うしろからも誰もこないでしょう。
足をひねったりして動けなくなると、携帯で助けを呼ばざるえない=遭難という状況はかわりません。
慎重に、大きめな段差は手をついて絶対転ばないように気をつけて降りていき、やっとのおもいで人家のとなりの登山道入り口まで降りることができました。
今回は山の怖さを存分に知ることができた貴重な経験でした。
初心者は一人で山登りは行かないこと。
地図は随時みること。
迷ったら進まないで引き返すこと。
いつか読んだ本に書いてあったことを実地で学んだ登山となりました。
完。 |