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たかしの読書日記

 
2008-04-02

白い巨塔(第2巻)/山崎豊子

カテゴリー: 日記
実弾飛び交う、選挙の終盤。金と権力の争い。生々しい描写だ。結局、財前は選挙で勝利をおさめる。それにより学内派閥の力関係の均衡が崩れ、新たな秩序が現れる。誰もが我が身を第一に考え、自分の利権を守ろうとする結果がこれだ。財前、里見はまだ良い。良きにしろ悪きにしろ、自分の考えを徹底的に貫いている。ある意味、潔い。それに比べ、どちらとも付かず、どちらが買っても漁夫の利を得ようとする輩が一番浅ましい。また、教授の妻達の関係が、夫達の関係に依存している所がまったくもってみっともない。夫婦共々同じ穴の狢と言ったところか。

それに比べ里見の学究心、純粋さには、心が洗われるようだ。研究者たる者、こうでなくてはならない。それを支える献身的な妻、美知代も素晴らしい。夫婦とは人間性も似てくるものだと納得させられる。いや、似ているからこそ惹かれあったというべきだろう。そして、そういう誠実な里見にほのかに想いを寄せる佐江子は本当に人間の根本を見る目を持った聡明な女性だ。僕の理想と言っても良い。飾り気のない、しかし隠しきれずに滲みだす上品さと聡明さ。そして何より柔らかい物腰に隠された芯の強さ。こういう女性とぜひとも出逢ってみたい。

話をもとに戻して、教授になってからの財前はまったくもって放漫で無礼極まりない。私の知っている著名な物理学の教授達は、有名である程、謙虚さを忘れていないように見受けられる。その意味で物理学の世界は、医学界よりも健全と言える。私は学問に大切な物は、三つあると考える。まず、精神的、肉体的かつ金銭面での忍耐力。そして、己の間違いを素直に認める誠実さと謙虚さ。最後にこれらを支える好奇心である。