かぼちゃのつるが 原田 直友 かぼちゃのつるが はい上がり はい上がり 葉をひろげ 葉をひろげ はい上がり 葉をひろげ 細い先は 竹をしっかりにぎって 屋根の上に はい上がり 短くなった竹の上に はい上がり 小さなその先たんは いっせいに 赤子のような手を開いて ああ 今 空をつかもうとしている 原田直友は、1923年生まれで、子どものための詩をたくさん書いている。 詩の全文が、一つのセンテンスになっている詩だ。 ためしに、句点(。)や読点(、)をどこに打っていいか探してみてほしい。どこにも打ちようがないことがわかるはずだ。 詩人が、ことばを大切にすることはもちろん、句点や読点までも、いかに心配りをしているのかが、よくわかると思う。 「かぼちゃのつるが」という題名も、文の連続性をイメージさせるものになっている。 「かぼちゃのつる」という名詞に、「が」をつけることで、「かぼちゃのつるが」は主語となり、あとに述語が続くことを前提にしているのだ。 それが、この詩の連続性をイメージさせているのである。 比喩表現もされている。 〈かぼちゃのつる〉が比喩しているものは、幼児から少年の子どものイメージだ。 子どものひたむきに成長していく姿を、〈かぼちゃのつる〉でたとえているのである。 このような比喩を、擬人化という。 擬人化は、詩にはよく使われている。 工藤直子の連作「のはらうた」も、擬人化された詩だ。 |