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たかしの読書日記

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2008-03-13

きみに読む物語/ニコラス・スパークス

カテゴリー: 日記
日記を書こうと思ってなにかネタがないかなと思って身の回りを探したら、趣味の一つである読書があったので、本の感想などを、徒然なるままに書こうと思います。

先ず、初めは、究極の恋愛物から。

一般的に、映画と小説とどちらが良いかという疑問には、大抵の人は小説だと答えると思う。小説の方がイマジネーションを働かせられるし、なにより楽しむ為のエネルギーが違う。能動的だから。その分だけ、感動も大きい。しかし、この作品は映画も良かった。

で、その後、読んだ小説も良かった。各自のイマジネーションは、これまでの知識、経験の蓄積から得られるが、映画で見た美しいアメリカ東部の風景(夕陽の沈むゆったりと流れる河、そことゆったりと漕ぎ進む一艘のボート、白鳥のいる湖)は、原作を読んでいるときにも、頭に浮かんできて、より一層楽しめた。

ストーリーも基本的に映画の方が僕の好みに合っている。初恋のプラトニックさが映画の方が良かった。エンディングも映画の方が良かった。ネタバレになるので言わないけれど、映画のエンディングは、ある意味、究極のハッピーエンドだと思う。

是非映画を見てから読んで欲しい本の一冊。

小説については、続編があるそうなので、ぜひ読んでみたい。ただ、すべての訳本にありがちなように(例外はある)少しぎこちない部分があった。英語の原作を読むとまた違った印象を持つかもしれない。
ちなみに、原作は「The notebook」。
2008-03-14

弘海-息子が海に還る朝/市川拓司

カテゴリー: 日記
文体が好きな作家市川拓司の作品。

印象的に優しく呼びかける手紙から始まる物語。親子、夫婦、兄妹、異性、友人の様々な愛情の形が優しく、ほんとうに優しく書かれている。個人的には現実的ではないSFチックあるいは、メルヘンチックな物語は趣味ではないのだが、彼の作品は優しさいあふれた、その文体と表現力に引き込まれて読んでしまう。優しい気持ちになりたい人にはぜひ読んで欲しい。

彼の小説にはいつも思うのだが、特にこの作品は良い意味で小説ではないと思った。市川拓司が誰かに向けたラブレターだと思う。これまで、優しさとは想像力の事だと思っていたが、表現力も必要だと感じた。
この二つの要素が優しさの必要充分条件だと私は思う。
2008-03-15

博士の愛した数式/小川洋子

カテゴリー: 日記
良い本だ。静かで暖かい物語。数学に詳しいと、もう少し突っ込んだ数学の話もあっても良いが一般受けするにはこのくらいがちょうど良いのかもしれない。ルートが可愛い。大人っぽく振舞うなかに、子供らしさを隠せない所が良い。80分のとぎれとぎれの不確実な博士の人生を支えているのは、数学の普遍性であろうと想像する。彼のルートへの愛情表現は時にストレートで、時にぎこちないが、心を打つ。博士と母屋に住んでいる義姉との関係が、良くわからない。過去に何かあるに違いないと思わせる。施設に入ってからの展開が早く、もう少し物語があっても良かったのではないかと思う。

ちなみに、参考文献の藤原正彦氏の本は必読。これだけでなく、彼の本はエッセイとノンフィクションともに読む価値は十二分にある。特に「若き数学者のアメリカ」は彼の処女作にして、最高傑作。

ちなみに、この本は映画化された。寺尾聡の演技が心を打つ。原作に勝るとも劣らず面白い。

参考
http://www.hakase-movie.com/
2008-03-16

そのときは彼によろしく/市川拓司

カテゴリー: 日記
この本を読むのは2回目。最初読んだ内容をほとんど忘れた状態で映画を観た。まあ、楽しめたのだが、もうひとひねり欲しいと思った。そして、こうじゃなかっただろうという気持ちを持って、もう一度原作を手にした。

読み進めるうちに不思議な感じがした。花梨の科白が長澤まさみの声で聞こえてくるのだ。残念ながら、山田孝之、塚本高史の声は聞こえてこなかった。いつも本を読むとき、面白いと感じる小説は登場人物の誰かに自分を感情移入している。しかし今回は映画の映像をつなぎ合わせながら自分で映像を頭の中で作りながら読んでいた。これはとても奇妙だがとても楽しい読書体験だった。

こういう本の読み方も良い。「君に読む物語」でも同じような経験をした。
映画の映像無しにはこれほど楽しめなかったに違いない。
原作はやはり良い。優しい。優しさに溢れている。

そうと感じれる感受性を持っている事が嬉しい。そんな作品。
2008-03-17

宮台真司interviews/宮台真司

カテゴリー: 日記
今日はちょっと硬い本を。社会学。

ここ10年間の宮台氏の思想、言論の軌跡が分かる一冊。この分量にしてこの値段。お買い得感は充分。宮台氏の哲学、政治学、経済学、サブカルチャーの博学さは言うまでもなく、その論理展開の明快さには驚く。社会を見る目が変わる。しかし、保守的な人にはお勧めできない。たぶん刺激的過ぎるであろう。

宮台氏の主張を理解する上で最善の一冊であると言える。まずはこの本で、最近10年間のアウトラインを理解し、興味ある分野の著作に移って行けば良い。どんな方でも、心の琴線に触れる分野に関する宮台氏の主張を見つけることが出来るであろう。それほど彼の膨大な数の引き出しには舌をまく。

最近10年間の日本及び世界における劇的な変化、事件が、彼の主張の正当性と先見の明を証明している。

これからも、彼の言論には目が離せない。

宮台氏の師匠と称する学者の一人、小室直樹氏が宮台氏に教えた事柄が秀逸。「学問の醍醐味は、オーソドックスな理論を使って、生活者が驚くような結論を導く所にある。」と説く。いかにも、数学から学問の世界に入り、理論経済学を経て、社会学、政治学、心理学と幅広い学問の素養がある氏らしい心理をついた言葉だと思おう。

しかし、オーソドックスな理論を離れ、新しい理論を構築することも学問の醍醐味であることをあえて強調したい。
たとえば、古くは微分積分を使った、ニュートン力学から、ここ100年では、リーマン幾何学を使った、相対性理論や、量子力学に新しい見方を与えたファインマンの経路積分、位相幾何学を用いた超ひも理論などが挙げられる。
2008-03-18

パイロットフィッシュ/大崎善生

カテゴリー: 日記
大崎氏のフィクション第一作。まず、テーマが良い。「一度出会ってしまった人とは、別れることは出来ない。」

出会いの数だけ別れは増えると、「くるみ」でMr. Children は唄ったが、この様に考えたことはなかった。新鮮。かつ真実をついていると感じる。そして、特筆すべきは文章の秀逸さ。特に、比喩がうまく、面白い。ロックの造詣の深さをさりげなく散りばめているところが大崎氏らしい。吉川英治文学新人賞もうなずける。
2008-03-19

天国で君に逢えたら/飯島夏樹

カテゴリー: 日記
テーマは良い。癌を患った患者のメンタルケアとしての、手紙屋Heaven。アイディアは良い。しかし、手紙に特別な感情を持っている私には複雑な気持ちだ。

手紙とは高尚な告白形態だと思う。直接、口頭で言うのとはまた違った重みを持っている。なぜなら、手紙をしたためるには、途方もない推敲の繰り返しと、誤解のないようにと考慮する心遣い、また、自分の手を使って書く苦労が伴うからである。それを他人が代筆する。受け取った側はどう思うだろうか?内容、表現方法、文字の奇麗さは問題ではない。それは有名な野口英世への母からの手紙で明らかだ。どんなに稚拙で読み辛くても、心に響くものは変わらない。いや、そうだからこそ、心に響く。

また、死の間際に自分の過ちを告白するのも、私の美意識に反する。なぜなら、相手は、許すしか選択肢がないからである。そこで、許さないとは言えないであろう。ある種、暴力的告白である。それならば、あえて自分の胸の中にしまっておいて、旅立つのが優しさではないだろうか?

同名の著者をテーマにした映画が作られ、放映された。なかなか良い映画であった。

著者はすでに他界されたと聞いた。ご冥福をお祈りする。
2008-03-20

青春漂流/立花隆

カテゴリー: 日記
良い。まずは、前書きと後書きを読んで欲しい。これだけでも一読の価値はある。青春とは、今が青春だなと感じるものではなく、後になって、今から思い返せばあの時が青春だったんだなと回顧するものだとの主張は説得力がある。また、青春には挫折と戸惑いの連続であり、ある意味、人生における空白の時代だとは面白い見方である。しかも、その後のステップとしての準備段階なのである。

取り上げられている人物は、いずれも挫折を味わい、そこから自らの力と負けん気の強さ、好奇心で頂点に上り詰める。しかも全員が若い。既成の出世街道からは外れた生き方をし、自分のしたいことを見付けそれに遭遇することによって一つの頂きに到達する。

自らの意思も重要であるが、人との出会い、偶然が人生を左右することも面白い。

もう少し各人物像を掘り下げて分量を倍ほどにしても良かったのではないかと思うほどである。

20歳前の方には必読の書。
2008-03-21

対岸の彼女/角田光代

カテゴリー: 日記
さすがは、直木賞受賞作。いわゆる、勝ち組と負け組の「対岸」に位置する二人の物語が過去から現在に向けて交差する。書き方が上手い。葵の過去が語られているのに対して、小夜子の過去が描かれていない点が少し不満。

良い意味で女性にしか書けない小説だと思う。しかし、本当に対岸なのだろうか?女性には出産という年齢に縛られる制約がある点が男性と違うのだが、constrastという意味での対岸ではないと思う。むろん、hostilityという意味でもない。勝ち組、負け組も短絡的、近視的見方でしかないと思う。

commercialな意味でのフレーズとしては不愉快とまではいかないが、適切ではないけれも、インパクトは見ろめる。自分自身のアイデンティティを何かのグループに帰属することにより得ようとする人には良いかもしれない。人生、勝ち負けじゃなくて、自己実現だよっていうメッセージを込めて欲しかった。
2008-03-22

プリンストン高等研究所物語/ジョン・L・カスティ

カテゴリー: 日記
主役は20世紀の知の巨人たちの二人、ゲーデルとフォンノイマン。計算機をプリンストン高等研究所に作る為の教授会におけるフォンノイマンのプレゼンテーションは圧巻。しかし、科学の限界をゲーデルの不確定性定理と結びつけるとは素晴らしい着眼点だ。

確かに、科学を数学的にフォーミュレートすると、証明出来ない命題を作ることが出来る。それは、どの様な言語、表現手段を使っても避けることの出来ない命題だ。確かに古典力学も量子力学も相対性理論も客観的観測者が外にいる理論だ。観測者を含む包括的理論が出来たとしたらすぐさま矛盾を生じさせるような命題を作ることが出来るだろう。

人間の自然に対する理解能力には限界があるのか?
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